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浦和地方裁判所 昭和50年(わ)399号 判決

(一)被告会社

本店所在地

埼玉県東松山市大字東平一七二七番地七

名称

有限会社大里不動産

代表者

代表取締役 吉原文雄

(二)被告人

本籍ならびに住居

埼玉県大里郡大里村大字玉作四四〇番地

会社役員

吉原文雄

昭和一三年一月二七日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官鴻上政志出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社大里不動産を罰金四五〇万円に、被告人吉原を懲役六月に各処する。

被告人吉原に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社大里不動産は、埼玉県大里郡大里村大字玉作二四〇番地の二に本店を置き(昭和四八年一〇月三一日以降の本店所在地は同県東松山市大字東平一七二七番地七)、土地家屋の売買、その仲買、食堂およびドライブインの経営を事業目的とする資本金一、〇〇〇万円の有限会社、被告人吉原文雄は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人吉原文雄は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、昭和四七年六月一日から翌四八年五月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が八、八五七万七一八五円で、これに対する法人税額は三、一四〇万八〇〇円であるのにかかわらず、土地売上金およびドライブインの売上金の一部を除外し、架空の造成費および支払仲介手数料等を計上する等の方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、同四八年七月三一日熊谷市仲町四一番地熊谷税務署において同税務署長に対し所得金額が三、七六八万八五八円で、これに対する法人税額は一、二七〇万七一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して同日の確定申告期限を徒過し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額一、八六九万三七〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人吉原の当公判廷における供述

一  同被告人の検察官に対する供述調書二通

一  同被告人の質問てん末書一通

一  山崎博孝、小山田洋子、小野川鳥、小山田あい子の検察官に対する各供述調書

一  長沢久雄、庄野久子、林謙一郎、林彦右ヱ門、伊藤新一、松本春雄、強瀬愈、栗原実太郎、(二通)、矢島常男(二通)、小久保竹、持田茂吉、横田和男、内田光造(三通)、関口忠三、矢島保男、神田篤平の各資問てん末書

一  矢部孝次、小林富蔵、佐藤照子、関口良介、梶田勝彦、渡辺定治、町永博、窪田勇、柿沼辰男、福田小太郎、田家国康、池田敏見(三通)の各答申請書

一  矢島忠治の供述書

一  池田輝男作成の報告書

一  小林泰二(三通)、木村規作成の証明書と題する各書面

一  登記簿謄本

一  小林定雄(八通)、今井将俊、近藤昭治(二通)作成の各調査書

一  古田利彦作成の「大生相互銀行東松山支店調査関係書類」と題する書面

一  吉田満朗作成の「協和銀行東松山支店調査関係書類」と題する書面

一  押収してある売上金明細書一二綴、登記控一冊、売上伝票、領収書、不動産取引メモ、決算申告各一綴

(昭和五〇年押第一五四号のないし六)

(法令の適用)

罰条

法人税法一五九条一項(被告人吉原につき)

同法一六四条一項の一五九条一項(被告人大里不動産につき)

二 刑種の選択(被告人吉原につき)

懲役刑

三 刑の執行猶予(同被告人につき)

刑法二五条一項一号

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 竹田穣)

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